悪名高い天才外科医と一夜の艶事で愛を孕んだら──想定外の溺甘愛が待っていました


「でも、おかげ様で一か月もしないうちに退院できそうだからよかったよ。オペの予後もいいから、先生の腕がいいんだろうな」


 穏やかに笑う兄は着実に元気を取り戻している。

 それはこの病院のおかげであり、誰でもない執刀してくれた水瀬先生のおかげだ。

 さりげなく兄に水瀬先生について訊いてみても、真面目でいい先生だと言う。ただ、あまり愛想はよくないし、笑ったり冗談を言ったりは一切しないという。

 私も数度会った印象としては、患者やその家族とは一定の距離を置いて接していると感じている。

 お見舞いに来ると、決まって病院関係者にも声をかけて水瀬先生のことを調査している。

 あくまで患者家族という立場で、水瀬先生の評判を伺うような訊き方だ。

 現に、いい評判悪い評判、さすがに嘘でしょ?と思うような真っ黒な噂まで出てきたりして、豊富なバリエーションにどれが真実なのか若干混乱している。

 水瀬先生が厳しく、目をつけられた医師や看護師が何人も辞めていったという有り得るであろう話から始まり、後継者という特権で手術の成功数を盛っているなんていう恐ろしい話も耳にした。

 更には、危ない裏組織とも繋がっていて、普通ならお断りするような患者も受け入れて診ているとか……。

 全体的にはよろしくない話題が多い印象だ。

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