悪名高い天才外科医と一夜の艶事で愛を孕んだら──想定外の溺甘愛が待っていました
「ちょうどいい、意見があるなら今直接聞こう。三分で終わらせろ」
はぁ!?
「お兄さんの治療や対応に不満でもあるのか」
「いえ、そういうわけでは」
面と向かって問い詰められ、自分の目的を明かすのは今このタイミングだとピンとくる。
この一週間でそれなりに話を聞くことはできた。あとは、本人に直接訊くだけ……。
財布を仕舞った代わりに名刺入れを取り出し、「わたくし……」と水瀬先生に自身の名刺を差し出す。
「週刊ジャスティス編集部の、波多野美優と申します」
私に向いていた鋭い視線が、手元の名刺へと注がれる。彼は黙ってそれを受け取った。
「なるほど。だから俺のことを嗅ぎ回っていたのか。患者の家族なのをいいことに院内で」
「それは、本当にたまたまで……取材をすることが決まった日に、兄がこの病院に搬送されたんです」
「身内が入院になってラッキーだったな」
あからさまな厭味を込めてそう言った水瀬先生はわずかに口角を上げている。
思わずムッとして睨みつけそうになる。
なんて嫌な言い方をするんだろう。
やっぱり聞こえてくる悪い噂は全部本当なのかもしれないと、彼の悪評に信憑性が出てきた気すらする。
「そうですね。まさか、兄の主治医だなんて、こんな偶然あるんだって思ったのは確かです」
決して怯んではいけない。
周囲に彼の話を聞いてきた限りでは、口で負かされるのも想定の範囲内だ。心を強く持って真っ直ぐに彼を見据える。