悪名高い天才外科医と一夜の艶事で愛を孕んだら──想定外の溺甘愛が待っていました
「水瀬先生に、取材の申し込みです。受けていただけますか」
「話すことはなにもない」
「四年前の、関西水瀬総合病院での誤診、医療ミスについて真相を伺いたいんです」
「もう一度言う。話すことはなにもない」
はっきりとした強い返答。
でも、ここで引き下がるわけにはいかない。
「お願いします。一度でいいので、お時間をいただきたいんです」
食い下がる私に、水瀬先生は呆れたように目を上向き天井を仰ぐ。
「しつこいな。断ると言っているんだ」
「今、この場ででもいいです! 取材を受けていただければ、それ以上は無理言いませんから。でも、受けてもらえないなら私は引き下がりません。あなたに話を聞けなければ、他を当たるまでです!」
「声が大きい」
「私は、真実を知りたいだけなんです!」
必死なあまり、ここが病棟だというのも忘れて声のボリュームが上がってしまった。
ハッとして周囲を見ると、廊下の向こうからこちらを見ている入院患者や、業務中の病院スタッフが注目している。
水瀬先生が目の前で盛大にため息をついた。
呆れかえっている様子。でも、ここでもうひと押し。ここで引き下がったら、もう取り合ってもくれない気がする。