悪名高い天才外科医と一夜の艶事で愛を孕んだら──想定外の溺甘愛が待っていました


 な、なんか顔がいつもより疲れてるような……。


 エントランスホールに入るガラス張りの自動ドアに映った自分の姿につい目を凝らす。

 一重によく間違われる奥二重の目と、印象の薄い鼻と口。目は大きいほうだけど、決してはっきりとした顔立ちとはいえない標準的な顔は、疲労が増すとより霞んで見える。

 今日は朝の支度を簡潔にしてでもぎりぎりまで眠っていたかったため、胸下まであるロングヘアも毛先を巻くこともせず自由気ままに揺れている。

 大学卒業から就職して早三年目。今年アラサー女子の仲間入りをするにしては、平均より老けてしまっているのではないかとたまに自分が心配になる。

 出版社勤務でも、文芸部より不規則で内容によっては多忙を極める週刊誌の編集は、絶対に疲労で淀んだ顔をしていると思う。

 配属されたかった児童文学の部署の編集者を見かけるたび、穏やかで優しい雰囲気をいつも感じている。

 私自身の憧れの眼差しフィルターがかかっているのもあるかもしれないけれど、絶対に心が和やかになれる仕事をしているからに違いない。

 間違いなく、ジャスティス編集部のような、日々戦場みたいな仕事場ではないのだ。

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