悪名高い天才外科医と一夜の艶事で愛を孕んだら──想定外の溺甘愛が待っていました
「おはようございまーす」
エレベーターでジャスティスの編集部がある六階へ直接向かい、今日も朝から忙しそうな編集部内に声をかける。
電話対応に追われている者、編集者同士で話し合いをしている者、パソコン画面に向かっている者、それぞれが自分の仕事に忙しく、挨拶は気づいた人間からまばらにしか返ってこない。
こんなことは日常茶飯事で、実際私自身もオフィスにいれば誰が出勤して退勤していったかわからないことは通常運転だ。
「おお、波多野! 出勤早々悪いがいいか」
奥のデスクにいる大久保編集長から声がかかる。
週刊ジャスティスの編集長になってかれこれ十年になるという大久保編集長は、去年五十歳の誕生日を迎えたベテラン編集者。大学生、高校生の子を持つ父親でもある。
ジャスティスの編集長になる前は他社の週刊誌の編集者をしていたらしく、噂に聞くところ当時の編集長のヘッドハンティングだという。
ジャスティスに来てからもヒット記事や社会的に話題となる記事を何度も世に送り出しているすごい編集者だ。
とりあえず「はい!」と返事だけして肩にかけているショルダーバッグを自分のデスクに置く。その足で大久保編集長の席へ向かった。