悪名高い天才外科医と一夜の艶事で愛を孕んだら──想定外の溺甘愛が待っていました
「君は相手の話も聞けないタイプの人間か?」
「話さないと言われても、そこを聞き出すのが私の仕事ですから」
「どうやらそのようだな。でも、これ以上探るようなら……」
もともと冷たく私を見ていた切れ長の目が、更に温度を下げ鋭く尖る。じっと見られると総毛立つような緊迫感に襲われた。
「全力で潰しにかかるが、君にその覚悟はあるか」
とんでもない言葉が出てきて言葉を失う。
ゾッとした心情があからさまに顔に出てしまい、ハッとして表情を引きしめ取り繕った。それでも鼓動は落ち着きなく不安な音を立て始める。
つ、潰しにかかるって、権力でも使って、私の編集者生命を絶つってこと……?
それとも、私という人間を潰すって、そういう話……!?
「さっきも言いましたが、私は、ただ真実を明るみにしたいだけです。 たとえ、あなたが権力で私を潰そうとも、世の中の誰かのためになる記事を絶対に出す覚悟があります」
気持ちを落ち着け、この件に向き合っていく決心を伝えると、水瀬先生はじっと私を見つめる。すぐに視線を逸らし、再び静かに食事を始めた。
「真実を明るみにする? 噂に振り回されてる三流記者が、よくもまぁいけしゃあしゃあとそんなことが言えたな」
水瀬先生は呆れた様子でふっと苦笑する。完全に馬鹿にした態度だ。
「なっ、なんでそんなこと言われないといけないんですか!?」
三流記者って、失礼にも程がある!
「だってそうだろ? 君のその小煩い正義に迷惑している人もいるとは考えないのか」