悪名高い天才外科医と一夜の艶事で愛を孕んだら──想定外の溺甘愛が待っていました
スタッフステーションの奥では、心電図モニターの規則的な音が微かに響く。
看護師たちは忙しなく動きながら、抑え気味の声でやり取りも簡潔に交わす。
午後一に入ったⅯⅠⅭSは、予定通り閉創まで約四時間ほどだった。
ICUへの搬送準備後、しばらく患者の容態を見守り、当直のドクターに引継ぎを行った。
その間、通常の回診が行えず、代わりに回ってもらった研修医のカルテをチェックしている。
その中に担当している波多野航大のカルテが出てきて、昨日の出来事を思い出した。
怪しい動きは察知していたが、まさかあの週刊誌のジャーナリストだったとはな……。
外科病棟担当の看護師が、患者の家族が俺のことを訊いてきたと告げてきた。
彼女だけでなく、院内の関係者に世間話を装って声をかけていると。
なにをこそこそと嗅ぎ回っているのかと本人を捕まえて問いただしてみると、案外素直に正体を露わにした。
そして意外にも、正々堂々と取材をしたいと申し出てきたのだ。
週刊ジャスティス──。
以前、別の記者がやってきて、あることないこと追及され追い返した。
週刊誌に記事を出してほしいとタレコミしている人間の検討だってついている。
関西にいた頃から俺のことが気に食わない佐渡外科部長本人、もしくはその派閥の人間に違いない。
医療ミスやら海外へ雲隠れやら、虚偽の情報を提供すれば法的責任を問われることになる。
そこまでのリスクを背負っても、彼は世間から俺を抹消したいのだろう。