響け!涙のペザンテ
またいつもの言い合いが始まった。レオンハルトは呆れつつ、マーガレットたちに仲裁を頼んで事務所を出た。列車の時間が迫っている。

ロヴィスと共に列車に揺られ、レオンハルトはアルベルト・ブリュールの暮らしていた屋敷へとやって来た。事務所を出てから約二時間。辺りは森に囲まれているのどかな場所だ。

「静養するのにぴったりな場所ですね」

レオンハルトがそう言うと、ロヴィスは「ええ」と少し疲れた顔をしながら頷く。

「旦那様は元々都会の喧騒があまりお好きな方ではありませんでしたから」

「それは貴族の間でも有名な話でしたね。パーティーなどがある時は旅行がてら来ると話している姿を見たことがありますよ」

森の中に聳え立つ屋敷の門をくぐり、レオンハルトとロヴィスは屋敷の中へと入る。使用人たちはどこか疲れ切った様子だったが、客人であるレオンハルトを出迎えてくれた。

「応接室へどうぞ。皆様がお待ちです」
< 19 / 29 >

この作品をシェア

pagetop