響け!涙のペザンテ
「黙れ!!」

顔を真っ青にしたヴィルヘルムは大声を出し、足音荒く応接室を出て行った。その後ろ姿を見てゾフィーは鼻を鳴らした後、レオンハルトとロヴィスの方を向く。

「お騒がせして申し訳ありません」

ゾフィーはそう言った後、応接室を出て行った。一瞬にして部屋が静かになったようにレオンハルトは思えた。

「申し訳ありません」

ロヴィスがレオンハルトに頭を下げる。レオンハルトは「ベッケンバウアー先生のせいではありませんよ」と微笑み、窓の外を眺める。自然豊かなこの場所は、流れていく時間がゆっくりに感じる。

(景色だけは穏やかだな)

屋敷での謎解きを考え、レオンハルトは胸の片隅に少しの憂鬱を抱いた。



三人兄妹の仲はそれほど良くないようだ。夕食の際、レオンハルトとロヴィスと共に三人も同じテーブルを囲んだのだが、三人は一度も会話を交わすことはなかった。あれほど重苦しい空気の食事はなかなかない。
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