響け!涙のペザンテ
「そうなりますね」

「もし謎が解けたらさ、ちゃんと俺にも遺産分けてくれよ。アルベルト・ブリュールの実子は俺なんだからさ!旅の途中で急遽帰国したからさ、金ないんだよね」

エミールは最後までニヤニヤしながらモーニングルームを出て行こうとする。その後ろ姿に、ゾフィーが「この金の亡者」と言葉を投げ付けた。エミールの顔から笑みが消える。エミールはゾフィーを睨み付けた。

「お互い様だろ。テメェも親父の遺産狙ってるくせに。いい子ぶんなよ」

ゾフィーは鼻を鳴らし、エミールから目を逸らした。エミールの足音が遠ざかっていく。ロヴィスは申し訳なさそうにレオンハルトを見つめた。

(居心地が相変わらず悪いな)

探偵事務所を離れて一日しか経っていないというのに、もうあの場所に帰りたいとレオンハルトは思ってしまう。早く謎を解いてしまおうと彼は席を立った。



食事を終えたレオンハルトは、アルベルトの自室へと来ていた。アルベルトの葬儀は終わったものの、自室には彼が生前使っていたベッドや本などが置かれたままである。
< 26 / 38 >

この作品をシェア

pagetop