響け!涙のペザンテ
この細胞は愛憎刻まれてる
次の日。朝食の時間は三人兄妹は変わらず睨み合っており、冷ややかな空気のままだった。レオンハルトは気まずそうにコーヒーに口をつけるロヴィスに話しかける。

「ベッケンバウアー先生。よろしければ、アルベルト様の死亡記録を見させていただけませんか?」

「はい。あとでお見せしますね」

「ありがとうございます」

レオンハルトはロヴィスに笑いかけ、皿に残っていたウインナーを口にした。その様子を見てヴィルヘルムが馬鹿にしたように笑う。

「無駄ですよ。父の死は病死。探偵さんの出る幕はありませんって」

「それでも見たいんです。アルベルト様がくれた謎を解きたい」

レオンハルトがそう返すと、ヴィルヘルムはつまらなさそうに息を吐き、モーニングルームを出て行った。その姿を見送った後、エミールがレオンハルトにニヤニヤしながら話しかけてきた。

「なぁなぁ、ジッキンゲンさん」

「はい。どうかされましたか?」

「親父の遺言の謎が解けたらさ、遺産が手に入るんだろ?」
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