響け!涙のペザンテ
三人は何も言わず、ただレオンハルトから目を逸らす。ロヴィスが写真を見つめ、切なげに微笑んだ。

「……アルベルト様は、本当にヴィルヘルム様たちを大切に想っておられました。だからこんなにも写真を残していたんです。「いつか、みんなで写真を見ながら思い出を語りたい」「大人になった子どもたちと写真が撮りたい」そう旅立たれる最期の瞬間まで話されていました」

ロヴィスの瞳から涙が一筋溢れ、流れていく。この屋敷でレオンハルトが見た初めての悲しみの涙だった。



レオンハルトはアルベルトの遺産を放棄し、事務所へと戻ることにした。レオンハルトが遺産を放棄する旨を口にしたところ、部屋にあった金貨の山や土地の権利書は一瞬にして消えた。どうやら遺産を放棄した場合、孤児院や病院に寄付されるようになっていたらしい。あの屋敷は買いたいと思っている人に譲る形になるそうだ。

ヴィルヘルム、エミール、ゾフィーの三人はショックを受けている様子だった。レオンハルトが遺産を手放した場合、自分たちが貰えると信じていたのだろう。
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