妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る
「次にこの子が使おうとした禁止魔法はさらにタチが悪い、ってかハッキリ言って最悪よ。本人が言ってたでしょ、『業報の呪詛』だって。あれは自分の命を代償に因果律を捻じ曲げ、あらゆる防御を貫通して対象の命を奪う《《心中魔法》》よ」

「……お前……」
 ユリウス様はリュオンを睨みつけ、硬く拳を握った。
 本気で殴られると思ったのか、怯えたようにリュオンが小さく身を引く。

「いや、だって、単純な攻撃魔法だとドロシーの近くにいた皆を巻き添えにしてしまうだろ? 誰にも被害を与えず、確実にドロシーを倒すにはあの魔法を使うしかなかったんだよ」

「ああそうだな。元々死ぬ気な訳だから自分の命を代償にしても問題ない。確かに最適だったな」
「悪かったって……許してくれ。二度と使わない。約束するから」
 リュオンの態度は、まるで兄に叱られた弟みたいだ。

 そういえば誕生日はユリウス様のほうが早かったな、と酷い目眩と頭痛に苛まれながら思い出す。実際のリュオンの誕生日は不明なので、あくまで書類上での話だが。

「ドロシー、リュオンは大丈夫なの? 魔法を使わなければ《魔力環》は金に戻るの?」
 私は泣きそうになりながら尋ねた。
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