妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る
 私は愛人や私の信奉者たちに集めろと言っただけ。
 決して強奪しろとは言っていません、などと言い訳したところで無意味だろう。

 無言で周りを見回したけれど、助けてくれそうな人間は誰もいない。

 国王陛下を含む王侯貴族に加えて、魔女や警備中の騎士たちはココと同じ絶対零度の眼差しを私に注いでいる。

 唯一私の味方であるはずのクロード王子は青い顔で目を逸らしていて、その情けなさに涙が出そうだ。

 何知らん顔してるんだよ、お前だって私の協力者だろーが!!
 肝心なときにいっつもそう、お前はクソの役にも立たねー!!

 夫なら妻を庇えよ、この豚がっ!!

 内心で王子に罵詈雑言を浴びせようと現実は覆らない。

「イノーラ妃殿下。私たちと共に来ていただけますね」
「……はい……」
 人体などあっさり貫けそうな物騒な槍を右手に構えた騎士たちが進み出てきて、私は無力に項垂れるしかなかった。
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