妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る
 もういっそ直接的な暴力に訴えてくれればこちらも正当防衛という名目で正々堂々反撃できるのに、連中と来たら証拠を残さないよう徹底していた。

 先生方はもちろん見て見ぬふり。

 なんたって相手は泣く子も黙るお貴族様。
 魔法学校に莫大な寄付をしている大公爵や公爵のご令嬢だ。
 誰だって我が身は惜しい。

 魔法学校でいじめられたのは私だけではなかった。

 セレスティア・ブランシュもいじめられっ子の一人だった。

 しがない田舎の農夫の娘である私とは違い、伯爵令嬢という立派な肩書がある彼女がいじめられたのは「魔女なのに魔法が使えない」から。

 セレスティアは知識や記憶力が問われる座学では私と学年主席を争うほど優秀だったが、実技は全て0点。魔法が使えないのだから当然である。

 同じいじめられっ子の私から見ても彼女は本当に可哀想だった。

 なにせいじめを扇動しているのは彼女に良く似た美しい双子の妹。

 在学中に《国守りの魔女》となった彼女は校長すら傅かせる学校の女王様。

 妹や妹の取り巻きからは直接的にいじめられ、侍女を通り越して奴隷扱い。
 他の魔女や実技科目の担当教師からは嘲笑あるいは無視される。

 それでも自らの意思で退学することは許されない。

 セレスティアの境遇には深く同情したけれど、私は私で手いっぱいで、とても彼女を庇う余裕はなかった。
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