初夜を拒む皇女は敵国の皇太子に溺愛される
部屋に戻ると、静寂が広がっていた。
豪奢に整えられた空間。
柔らかな灯り、磨き上げられた調度品。
どれも美しく、完璧で――だからこそ、どこか居心地が悪い。
私はゆっくりと鏡の前に立った。
そこに映るのは、純白のドレスに身を包んだ花嫁。
整えられた髪。飾られた装飾。誰が見ても、祝福されるべき姿。
けれど。
「……違う」
小さく、呟く。
これは、私じゃない。
鏡の中の自分を見つめながら、唇を噛む。
こんな姿を望んだことは、一度もない。
私は――
「奪われた側なのに」
ぽつりと零れた言葉が、胸に重く落ちる。
国を失い、すべてを奪われて。
それなのに、こうして花嫁の姿をしているなんて。
おかしい。
間違っている。
私は、そっと目を伏せた。
このまま流されてはいけない。
――心まで、奪われてはいけないのだから。
豪奢に整えられた空間。
柔らかな灯り、磨き上げられた調度品。
どれも美しく、完璧で――だからこそ、どこか居心地が悪い。
私はゆっくりと鏡の前に立った。
そこに映るのは、純白のドレスに身を包んだ花嫁。
整えられた髪。飾られた装飾。誰が見ても、祝福されるべき姿。
けれど。
「……違う」
小さく、呟く。
これは、私じゃない。
鏡の中の自分を見つめながら、唇を噛む。
こんな姿を望んだことは、一度もない。
私は――
「奪われた側なのに」
ぽつりと零れた言葉が、胸に重く落ちる。
国を失い、すべてを奪われて。
それなのに、こうして花嫁の姿をしているなんて。
おかしい。
間違っている。
私は、そっと目を伏せた。
このまま流されてはいけない。
――心まで、奪われてはいけないのだから。