初夜を拒む皇女は敵国の皇太子に溺愛される
私は背筋を伸ばし、彼らを見据えた。

震えはない。

恐怖も――ないと言えば嘘になる。

それでも。

「……殺しなさい」

静かに、言い放つ。

誰にも媚びず、誰にも屈しない声で。

皇女として、最後まで在るために。

一瞬、空気が止まった。

兵士たちが顔を見合わせる。

その中の一人が、ゆっくりと剣を構え直した。

刃が、私の喉元へと向けられる。

これで終わりだ。

そう思った、その時だった。

「――その方に手を出すな」

低く、静かな声が、場を裂いた。

まるで、すべてを支配するかのような響き。

その一言で、空気が変わる。

剣を構えていた兵士が、ぴたりと動きを止めた。

そして――次の瞬間、彼らは一斉に膝をついた。
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