初夜を拒む皇女は敵国の皇太子に溺愛される

第3章 溺愛の始まり

その日、城の奥へと連れられた先で、思わず足を止めた。

視界いっぱいに広がる花園。

色とりどりの花が、陽の光を受けてやわらかく揺れている。

風が吹くたび、甘い香りがふわりと漂った。

「……なぜ、こんな場所に」

戸惑いを隠せずに問う。

すると彼は、少しだけ目を細めた。

「君に似合うと思った」

あまりにも自然な言い方に、言葉を失う。

何も返せないでいると、彼は花の中へと歩み寄った。

一輪、静かに摘み取る。

そして、私の前に差し出した。

「これ、君の国にも咲いていた」

その言葉に、胸がわずかに揺れる。

見覚えのある花だった。

指先が、ほんの少し震える。

受け取るべきか迷いながら、私はその花を見つめたまま動けなかった。
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