初夜を拒む皇女は敵国の皇太子に溺愛される
彼の一言で、空気が完全に変わった。

先ほどまで囁いていた令嬢たちは、何も言えずに口を閉ざしている。

視線はあるのに、もう誰も声を上げない。

ただ、沈黙だけが広がっていた。

私はその中心で、言葉を失っていた。

こんなふうに庇われるなんて、思ってもいなかったから。

思わず、彼の名を呼ぶ。

「……アルヴィオン」

すると彼は、わずかに視線を落とし、静かに告げた。

「リゼリア、堂々としていろ」

低く、揺るがない声。

「君は、この国の皇太子妃だ」

その言葉に、胸がざわつく。

「でも……」

言いかけて、言葉が詰まる。

――初夜すら、まだなのに。

そんな私が、本当に隣にいていいのか。

すると彼は、迷いなく言った。

「君が、俺の隣にいることが重要なんだ」

その一言が、胸の奥に深く響いた。
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