初夜を拒む皇女は敵国の皇太子に溺愛される

第7章 溺愛の初夜

寝室には、静かな空気が流れていた。

彼がゆっくりと上着を脱ぎ、ベッドへと入る。

その仕草一つ一つに、目が離せなくなる。

こんなふうに、彼を見るのは初めてだった。

私は、息を整える。

逃げる理由は、もうない。

ゆっくりと、自らの手で衣を解いた。

するりと布が落ちる。

冷たい空気が、肌に触れる。

それでも、不思議と震えはなかった。

彼の前に立つ。向かい合う。

逃げ場のない距離。

視線が絡み、逸らせない。

胸の奥が、強く鳴る。

「……今」

声が、少し震える。

それでも、止めない。

「あなたに、抱かれたくて仕方がない」

言い切った瞬間、胸がほどけた。

彼の表情が、わずかに揺れる。

そして、低く答えた。

「俺もだ」

ゆっくりと手が伸びる。

「君を抱きたくて、たまらない」

その言葉に、もう迷いはなかった。

私は一歩、彼へと近づいた。
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