初夜を拒む皇女は敵国の皇太子に溺愛される
彼の手が、そっと私に触れる。

「……やっと、君に触れてもいいのか」

低く、確かめるような声。

私は小さく頷いた。

その瞬間、彼の指先がやわらかく肌をなぞる。

「……っ」

思わず息がこぼれる。

触れ方は優しいのに、胸の奥まで響いてくる。

「感じて」

耳元で、低く囁かれる。

「もっと、俺を」

その声に導かれるように、体が熱を帯びていく。

彼の指が、ゆっくりと確かめるように触れていくたびに、

今まで知らなかった感覚が広がっていく。

「あ……」

思わず声が漏れる。

隠そうとしても、隠しきれない。

彼はそんな私を見つめながら、静かに微笑んだ。

「……こんなにも、俺を求めている」

その言葉に、胸が強く締めつけられる。

恥ずかしいのに――

逃げたくない。

むしろ、もっと近くにいたいと願ってしまう。
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