初夜を拒む皇女は敵国の皇太子に溺愛される
彼の手が、そっと私の入り口をなぞる。

「……ずっと我慢していた」

低く、押し殺したような声。

その言葉だけで、胸が熱くなる。

優しく触れているはずなのに、なぜか逃げ場がない。

「あ……」

思わず声がこぼれる。

彼はその反応を逃さない。

「……かわいい」

耳元で、やわらかく囁かれる。

「リゼリア……」

名前を呼ばれるたびに、体の奥が震える。

触れ方は決して乱暴ではないのに、少しずつ、確実に深くなっていく。

「もっと早く……こうして触れたかった」

その本音に、心がほどける。

拒んでいた時間さえ、愛しく思えてしまうほどに。

私は、彼の腕にしがみつく。

「あ……」

抑えきれない感情が、声になる。

彼に胸も入り口も触れられるたびに、心も体も、溶かされていく。

その瞬間、はっきりと分かった。

――私はもう、完全に彼を求めているのだと。
< 64 / 71 >

この作品をシェア

pagetop