初夜を拒む皇女は敵国の皇太子に溺愛される
ふと、言葉がこぼれた。

「……私達、本当に夫婦なのね」

自分でも、今さらだと思う。

けれど、どうしても実感が追いつかなくて。

すると彼は、少しだけ呆れたように息をついた。

「今さらか」

その声には、どこか柔らかさが滲んでいる。

次の瞬間、彼が私の胸元へと顔を埋めてきた。

「……アルヴィオン?」

驚いて名前を呼ぶと、彼はそのまま静かに言う。

「君に出会った、その時から」

低く、確かな声。

「そのつもりだ」

胸が、じんわりと熱くなる。

そんな前から――

そう思うと、言葉が出てこない。

私はそっと彼の頭に手を置いた。

この距離が、当たり前のように感じられる。

それが、何よりも不思議で――

そして、嬉しかった。

ー End -
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