敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
 チーフがいなくなり、残されたふたりで盛大にため息。

「チーフって無駄にイケメンだから、余計怖いんですよ」

「わかる……」

 成美はパソコンにようやく向かいだした。雪は気分転換に化粧室へ立った。

 鏡の前を見て、中途半端に伸びた髪をまとめた。

 当たり前のお洒落というものから遠ざかってずいぶん経つ。

 目の前の成美がはやりの初秋のコーデをしているのを見ながら、ついわが身を振り返った。

 ここ最近、とにかく忙しくて数か月美容院に行っていない。

 夏物のセールは終わってしまい、秋物の新しい服も欲しいと思いながらも買えていない。

 色違いで持っている数枚のシャツ。それに、同じく色違いのパンツ。

 数種類のピアスをローテーションの毎日。

 こんな雪でもお洒落に気を遣っていた時期もあった。

 学生時代から付き合っていた彼氏と別れてからというもの、友人から枯れ気味だと言われる。

 肯定するのは悔しいが、残念ながら今の状態では否定もできない。

 * * *

 雪がパソコンから目をあげると、昼すぎと同じように成美と目が合った。

< 12 / 121 >

この作品をシェア

pagetop