敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
 ん?もう夕方だ。成美の顔は絶望に染められていた。

 雪は諦めた。これはだめだなと彼女に声をかけた。

「成美ちゃん。どうした?まだ思いつかないの?」

「ううう……雪先輩。どうしても思いつかないんです」

 思いつかない……つまり、一文字も書けていないということ?!

 その原稿確か明日までと言ってなかったっけ……。

 雪は大きなため息をついた。

 彼女の指導員である海江田君を探したが、まだ戻っていないようだ。

 彼は予定では一時間前に戻っているはずだった。

 共通のスケジューラーを見ると、何も書いてない。

 これはイレギュラーが起きたとみるべきなんだろうか?

「ところでどうして海江田君は戻ってないの?何かあった?」

「それが、取材が長引いているようで……さっき連絡があって、しばらく戻れないそうです……」

 それじゃ、スケジューラーに記入して欲しかった。成美にはそんな余裕もないのかもしれない。

「わかった。私でよければ打ち合わせ室で相談に乗る」

「はい、お願いします」

 笑顔が輝いた。

「その後まで見られないから、今聞いた段階で助言程度になると思う」

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