敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
3.鬼上司と部下
今にも泣きそうな成美は海江田と一緒に部長室へ連行された。
部長は二人を先に部屋へ入れると、雪の方を見て顎をしゃくった。
チーフひとりが残っている打ち合わせ室を指さしている。
すぐに入れと言う意味だろう。雪はうなずくと立ち上がりそちらへ向かった。
チーフの入っている打ち合わせ室のドアをノックした。
「佐山です」
「入れ」
「はい」
雪は黙ってチーフの前へ行き、あたかも裁判所の被告人席にいるかのように潔くまっすぐ立った。
高原はパソコンの画面を見ながら入力している。
「座れ」
目の前の椅子を指さした。
「大丈夫です」
叱られるのに、座るのは気が引けた。
「いいから、座れ。今日は暑い。身体に無理をさせるな」
三年前、めまいを起こしてチーフの目の前で倒れた。
それからは、どんな時でも気遣ってくれることが増えた。
「……ありがとうございます」
雪は机の横にあった椅子を引いてきて腰かけた。
黙っているとこの裁判官は本当にイケメン。こちらを見もしない。