敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
 本当だとするとチームリーダーになれるということだ。とうとう夢がひとつかなう。

「本当ですか?!」

 声がうわずった。嬉しくて、つい顔に出た。それを見た高原は冷たく言い放った。

「林の原稿を見るまでは部長の意向に賛成するしかないかと思っていた。でも無理そうだと先ほど伝えた」

 椅子に座った彼はくるりと向きを変えて背中を向けた。

 雪は手を合わせてすり合わせ、彼を拝むようにして言った。

「そ、そんな……チーフすみませんでした、これからは本当に気をつけますからどうか……」

 高原は椅子を回して雪をにらんだ。

「いつも言ってるが、お前は優しさと厳しさをはき違えてる。仲良しこよしがいいなら学生に戻るか、バイトへ戻れ」

「……すみません」

「指導することと助けることは違う。原稿には個性が出る。さっきの原稿からは佐山の匂いがプンプンした」

「……すみません」

「林にはお前と違ってフレッシュな原稿を期待していたのに、林はどこにいるのやら全くわからなかった」

 雪は思わずむっとした。そんないい方しなくてもいいじゃない。

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