敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
 どうせ、私はフレッシュじゃありませんよ。胸の中で悪態をついた。

 顔に出ていたんだろう。

「なんだ?何か文句があるのか?」

 高原は雪を挑発した。

 しかし、雪としては白旗をあげるしかない。

「いいえ、ありません。どうせ……」

 泣きついてきた成美に、私ならこんな風な切り口で書くかもしれないとアドバイスをしただけだった。

 彼女自身で答えを考えさせるつもりだったが、追い詰められると丸のみするということも想像できた。

 部長だったら気づいても、ある程度は目をつむってくれるかもしれないと軽く考えていた。

 まさか、彼女のテーマにもチーフが絡んでいたとは知らなかった。

 気づいたところでもう遅い。こうなると、どっちにしても雪の落ち度でしかない。

「まあ、お前のアドバイスを自分で全く咀嚼せず原稿におとした林が一番悪い」

「……」

「だから佐山らしさをわざと褒めてOKを出した」

「ひどい……」

「林は気づいたんだろう、真っ青だった。さすがに身に染みただろう。もちろん海江田の責任もある」

「海江田君は悪くありません。私の責任です」

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