敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
「当たり前だ。佐山の責任は重大だ。だから叱ってる」

「はい」

「だが、海江田も悪い。あいつが林を放置したからこうなったんだろう。まあ、ふたりは部長が今頃叱っている」

 ちらりと打ち合わせ室を見る。きっとあちらの中も同じ状況だろう。二人も叱られているに違いない。

「本当に……すみませんでした」

「あいつらにあの原稿を1日で手直しさせる予定だ。海江田のお手並み拝見だな」

 海江田君ならすぐだろう。彼は本当に才能がある。

「お前より指導力があるようならあいつをリーダーにするかな?」

 にやにやと笑いながら高原は嫌みを言う。

 雪は何も言い返せず、ただぎゅっと手を握った。

 冗談に聞こえない。つらかった。

「それで、お前の仕事はどうなってる?昨日から林の手助けをして、はて、あのインタビュー草稿は出来たのか?」

「……現在、鋭意作業中です……」

「ふーん。今日の午前中は信金の取材じゃなかったのか?」

「えっと、それは先方の都合で明日になりました」

「初耳だ」

「すみません、口頭でお伝えを忘れておりました……共有のスケジューラーには載せてあります」

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