敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
 この仕事はそれぞれがチームとして同じ取材先を担当したりするので、お互いのスケジュールを把握しあう。

 どうしても緊急取材が入って自分が行けない時、あるいは記事に穴をあけないためにあらゆる角度から助け合う。

「佐山」

「はいっ!」

「佐山の氷室副社長インタビューは部長から引き継いで最初の大仕事だ」

「……はい」

「インタビュー草稿と手持ちのコラム以外のものをすぐに俺へ持って来い。特別に俺が引き取ってやる」

「……え?」

「お前の原稿の質を落とすと部長に叱られるのは俺だ」

 つまり、雪の余剰仕事を無理やり他の人に振るのだ。

 そうなると、今までの雪の考えで取材して準備してきたものがパーになる。

「……!む、無理です。考えがあってひとつずつ資料を集めたりしているので、他の人には任せづらいんです」

 裁判官がぎろりとこちらをにらんだ。

 バン、と机を叩いて彼が立ちあがった。すくんだ。

「優先順位という言葉を知っているか?人の手伝いをする暇が今のお前にあるのか?」

 雪は高原の目を見て、これは撤退すべきだとすぐに判断した。

「わ、わかりました……」

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