敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
4.鬼上司と部下2
ハッと気がついて顔をあげると、雪の背中にはいつのまにか見慣れたコートがかけられていた。
こういうさりげない優しさがあるから、雪は想い切れないのだ。
辺りは静かだ。時計を見るとすでに二十時になろうかという時間だった。
「やっちゃった……」
部屋が暗くなってきていたことは覚えている。
今日は周りが取材で出払っていて集中して書くことが出来た分、静かで寝落ちしたんだとわかった。
コートの主の席を見ると、椅子の上にカバンが放り投げられている。
パソコンの画面は真っ暗になっていた。
電源を入れなおすと、原稿は書き終わっていたことを思い出した。
「そうだ、見直しているうちに寝落ちしたんだ……」
お腹がグーっとなった。
机の中のキャンディーを取り出すと口に放り込んだ。
ブルーベリーの味が広がる。
目が疲れるとよく食べるキャンディーで常に机の中に常備していた。
「さてとどこまで見直したっけ……」
パンパンとパソコンのキーボードを強くたたく。
隣のフロアも人がほとんどいない。