敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
 近頃はコンプラ重視で、週一回はノー残業デイと設定されている。

 今日がその日だったようだが、守れる人は少数派。

 雪は目の前の締め切りが明日だ。

 昼過ぎに部長へ回したコラムはOKが出た。

 このコラムはデジタル版なので最悪日付が変わる迄に最終稿を出せば間に合う。

 とにかく今日中に高原のOKをもらわないといけないのは、インタビューの予定原稿。

「これだけは早めにあげろと言ってたくせに、結局チーフが忙しいから私はいつも最後になる」

 それにしても、すでにだいぶ時間が経っている。

「何も言わずに一体どこへいるのかな。これは他の部署じゃないのかもしれない」

 この様子だと急いでいたのだろうから、上の方からの呼び出しの可能性が高いと思った。

 そこへ、ばたんとドアが開いた。

 待ち望んだ人がようやく戻ってきた。

 高原は椅子の上にあるカバンを椅子の下に置くと、疲れたようにドスンと座り、眉間をもんだ。

 ネクタイも人差し指で無造作に緩めた。ぐるりと椅子を回して疲れた目でこちらを見た。

「なんだ、佐山……まだ残ってたのか?」

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