敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
「私、この期間限定の生ハムが食べてみたかったんですよね……」

 テーブルの上にある特別メニュ―を指さした。

「しょうがないな。じゃあ、特別に頼んでやる」

「ありがとうございます!これはもちろんチーフも一緒に食べていいですよ?」

「そうか?食い意地の張ってる佐山にしては優しいな」

 高原は嬉しそうに笑った。

 ああ、この笑顔を見ると三年前の淡い気持ちが蘇る。

 やっぱり雪は彼の笑顔が好きだ。

 男性なのにえくぼがでるそのはにかんだ感じ。いつもの俺様と違って魅力的なのだ。

 しかし、今日は本当に疲れているんだろう。

 いつもより目の隈も深いが、どこか遠くを見て何か考えている。

 若干言葉が少ない。

 彼は原稿を一通り見て、低い声でひとことOKと言った。

 やったー、一発OK久しぶりだ、雪は両手をあげた。

「本当ですか?」

「ああ。合格」

「ありがとうございます!」

「それと、俺の方から氷室副社長宛にメールを近いうちに送る予定だ。プロジェクトの件だ」

「はい」

「佐山には関係ないが、何か聞かれたら就任祝と伝えてくれ」

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