敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
 その時チーフはわかったと言ってくれたが、今思うと赤面ものだ。あの頃の雪は本当に幼かった。

「二年目の段階で相手に忙しすぎるとか言われたなら、倍以上忙しい現在、交際できる人がいますかね?」

「まあ、お前を見てると昔の俺を思い出すよ。でも俺みたいになったらだめだぞ」

「どういう意味です?」

「相手に負担を強いるなら、ひとりが一番だと思うことかな」

 雪はとたんに拍手をした。高原はそのリアクションを見てびっくりしている。

「わかります、それ。優先順位とか言われるのが嫌だったんじゃないですか?」

「優先順位って佐山はそんなことを言われたのか?」

 雪は首を振った。

「今の仕事のペースを乱されるくらいなら正直ひとりがいいと思うんです」

 驚いたのか、高原は目を見開いて雪を見た。

「変なプレッシャーを思い出すとぞっとします」

「おいおい。何が変なプレッシャーなんだ?」

「記念日やデートの日に仕事が入ったらどうしようとおびえて過ごすことです」

「そういえば、彼氏の誕生日に仕事を入れるなと頼んでたもんな」

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