敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
 コーヒーサーバーを指さした。一階は結構いいサーバーを入れている。

 チームリーダーの裁量に任されていて、そのチームごとに置いているものが違う。

 うちは炭酸水のサーバーがある。

 チーフが眠気を飛ばすといって、炭酸水を飲んでいるのだ。

「佐山、どうした?悩みなら聞いてやるぞ。最近の俺は絶好調だ」

 後ろから同期の野村が近づいてきた。

 彼は体育会系。足を使った取材は大好きなのに、書くのが苦手。

 体力に自信のない雪とは正反対。

 記者として致命的だと言われていたが、それを努力で克服した。

 今年ようやくサブリーダーになった。

 雪はニコニコ顔の野村を見て、ため息をついた。

「野村君。私は君の体力も欲しいけど、鋼のメンタルも欲しいです」

「俺のメンタル?」

 不思議そうな野村に、小西リーダーが教えた。

「そうね。野村はなんというか、前向きなお馬鹿さんだからね」

 ははは……と言いながらスポーツ刈りの頭を掻いている。

「なんで嬉しそうなの?」

「俺、小西チーフに呼び出される回数が多いから、気にしてられないんですよ」

「ちょっと、野村君!」

< 41 / 121 >

この作品をシェア

pagetop