敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
 小西の顔色が変わった。雪は呆れた。野村はまずいというように舌を出した。

「まあね。確かに私は口うるさい。高原チーフにもしょっちゅう言われてた」

「そうだろうな、小西さんの下にいる俺にはよくわかる」

「うるさくて悪かったわね。私は不安が出来たら何でもすぐ解決しておきたいタチなの」

 意味ありげな目で雪を見た。そう言えばチーフが昔こう言っていた。

『小西は色々とうるさいから、独立させたほうが俺のためになる』

 雪は基本的にチーフに言われていることに反対したことはない。

 口答えも基本しないと決めている。

 口を出すのは考えた上で一日後にする。

 しかも相談という体で話に行く。そのくらい慎重にしているのだ。

 雪が高原に従順すぎるのは理由があるんじゃないかと聞かれたことがある。

 あのとき雪は小西さんのように勇気がないからですと答えた。

「野村、午後までにひとつは推敲仕上げておいて」

「えー!」

 目の前で野村が万歳して、大きなクマが立ちはだかるようなポーズをした。

「ひどい、ひどい……」

「ひどくない。高原リーダーの下だったらもっと大変だ。ねえ、佐山」

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