敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
「そう。話を聞いてくれた。でも、チーフはなんか様子が変でね」

「そうですよね。この間から様子が変なんです」

「さすが佐山よく見てる。敵の敵は味方って言葉知ってる?」

「知ってます」

「佐山はつまり味方ということで、特別に教えてやるよ」

「なんですか?」

 また身体を寄せて小声で言う。

「覚えてる?あの例の幼馴染と正式に縁談があがっているらしい」

「え……!」

 * * *

 雪は三年前を思い出していた。

 その頃、学生時代から交際していた人と別れて、仕事にまい進していた。

 恋愛を捨て、仕事をしようと決めたせいもあったかもしれない。

 チーフのマンションの下で彼と話している時だった。

「それで、とりあえずこの資料を読んでおいてくれ」

 資料を二冊預かったところだった。めまいを起こし、目の前にシャッターが下りた。

「あっ」

 バサバサと資料を下に落とした雪がふらついた。

「……おい、佐山、どうした?」

 高原は雪を後ろから抱きかかえた。

「……あ……すみません。めまいです」

 高原は、黙って雪を抱きかかえた。

 雪の目の前はさらに反転した。

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