敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
 ビクンと震えるとパッと目を逸らした。コレだ。何故こいつはまだ記者をやっているんだろう。

 そう、林が辞めずにきたのは、佐山が特別可愛がっているからだ。

 将来性がないわけじゃないが、自分で探すという姿勢が足りん。

 自覚させるために叱ると逆効果なタイプ。

 しかし、褒めて辛抱強く育てるなんて、俺の辞書にはない。

「は……全くこの先が心配でならん」

 佐山がいなくなれば、気が利かない林とうまくやっていけるとは到底思えない。

 海江田はサバサバしていて、とりつく島がない。アイツは驚くほど人の間を上手に泳ぐ。

「はー」

 佐山が消えたあとのことを考えると頭が痛かった。やはり、この方法が一番いいと確信した。

 このチームを彼女に任せて、自分はチームを率いる立場を離れる。

 林のためにもそれがいいだろう。俺もひとりになれば、自由に取材が出来る。

 だが、そうなると佐山はもう部下ではない。小西に昇格を告げた時、彼女はむきになってこう聞いた。

『チーフは佐山が好きなんですか?』

 好き?初めて言葉にされて驚いた。動揺してしまい、すぐにごまかした。

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