敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
「うちの看板記者になる可能性を秘めてる。それならチームを任せようか」

 チーム?そうか、それも悪くはない。俺もあきらめがつく。

「ええ。うちのチームをそのままお願いします」

「これは驚いたな。本気か?」

「そろそろやりたいことをやらせてください」

 頭を下げた。チームは取材先に制約が多い。

「わかったよ。社長に言っておく」

 長年やりたいことを我慢してきた。

 いつか本当の一匹狼になりたいと社長に頼んできたのだ。

 そして、そのときこそプライベートも動こうと決めていた。

「佐山の昇格は、俺の後釜なら周りを納得させる必要があります」

「インタビュー記事は来月のトップ記事で決まってる。社内外のだれもが注目する」

 それならちょうどいい。俺の陰に隠してきたが、彼女の実力は今や小西以上だ。

 あいつの昇格を誰にも文句ひとつ言わせるものか。

「ところで氷室商事の前期決算と来期の予算を貸してもらえませんか?」

「それは構わない。晴海商事と例年通り比べるのか?」

「ええ。今年はお台場の件もありますから念入りにやるつもりです」

 お台場のプロジェクトは政府主導の二年間。晴海商事と氷室商事でやることが決まっている。

 担当は俺だ。普段は部長に任せていた氷室商事とも少し関係を持つ。

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