敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

「まあな、大事に育ててきて、ようやく独り立ちできる記者になる。気持ちはわかるよ」

 大事に育ててきたつもりはない。仕事では本当に厳しかったと思う。よくついてきた。

 小西など他の女性部下も育てたが、最初から何か違った。平たく言えば相性が良かったんだろう。

 彼女は言葉選びが慎重だ。出過ぎず、しかし必要に応じて言うことは言う。

 匙加減がいいのだ。高原にとっていい塩梅だった。居心地がよかった。

 彼女はもっと早く独り立ちできたが、自分が独占してきた。

 今回、ちょうどいい席が目の前で空いた。

 いい席がなくても、来月までに彼女を独り立ちさせていただろう。

 佐貫部長の言う通り、彼女を守るためだった。

 これからがある彼女を危険に巻き込みたくない。

 * * *

 急に社長から夕方呼ばれた。

 取材から急いで戻ると、佐山しかいない。

 しかもパソコンの前で寝落ちしている。

 俺はそっとコートを彼女の背中にかけた。

 三年前に目の前で倒れられてから、無理をさせないように気を付けている。

 しかし、想像以上の頑張り屋で、目を離すと勝手にやりすぎるのだ。

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