敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です
「晴海商事はここ十年近く基本的に俺がずっと担当している。氷室商事は佐貫部長がずっと担当してきた」

「知っています」

「氷室商事は代替わりが近い。そう遠くないうちに長男の彼が副社長になるとみられている」

「なるほど」

「部長は今回から氷室商事の取材を含めた現場から手を引くつもりらしい」

「……え?大事な時期なのにどうしてですか?部長どこかに行くんですか?」

 雪は異動のシーズンなのでそのためなのかと思った。

 目の前のイケメン鬼チーフは前髪をかきあげてこちらを舐めるように見た。

 ぞくっとした。

「どこにも行かない。部長は春からすごく偉くなるので現場を離れる決意をされた」

「昇進されるんですね?それならチーフが氷室商事もやるんですか。お忙しいのに大変ですね」

「大変ですねって他人事のように何を決めつけてる。氷室商事を担当するのは俺じゃない」

「誰ですか?」

「佐山になるらしいぞ」

 佐山?私じゃないのは確かだけど、他の課に佐山ってもうひとりいたっけ?

「佐山ってどこの誰ですか?」

「は?」

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