洗濯物をぶつけたら皇太子の溺愛が始まりました
「あ……っ!」

手元のシーツが、一気に引き上げられる。

指から、するりと滑り落ちた。

「大変!」

思わず声が出る。

白い布が、空へと舞い上がった。

ひらり、ひらりと揺れながら、どんどん高く、遠くへ流れていく。

「待って……!」

手を伸ばすけれど、届くはずもない。

そのまま、風に乗って回廊の方へ――

「え……」

視線の先に、人影が見えた。

歩いてくる一人の男性。

見慣れた、あの姿。――ルークレイン様。

心臓が跳ねる。

「うそ……」

シーツは、まるで導かれるようにその方へ向かっていく。

そして――ふわり、と。

その顔に、覆いかぶさった。

「きゃあああっ!!」

思わず叫んでしまう。

頭が真っ白になる。

どうしよう、どうしよう。
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