洗濯物をぶつけたら皇太子の溺愛が始まりました
「大丈夫ですか!?皇太子殿下!」

私は反射的に駆け出していた。

足元なんて見ていない。

ただ必死に、その人の元へ向かう。

こんなこと、あり得ない。

よりによって、あの方に。

息が上がる。心臓がうるさい。

近づくほどに、現実だと突きつけられる。

白いシーツの向こうに、彼がいる。

震える手で、布に触れる。

「も、申し訳ございません……っ」

声が上手く出ない。

怖い。怒られるのは当然だ。

それどころか――

「……どうしよう」

指先が震える。

ゆっくりと、布を持ち上げる。

その向こうにある顔を見るのが、怖くてたまらない。

けれど、逃げるわけにはいかない。

私は、やってしまったのだから。

「……本当に、申し訳ございません」

消え入りそうな声で、もう一度謝る。

顔を上げることもできずに。

ただ、祈るように。

これ以上、事態が悪くならないことを――願いながら。
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