洗濯物をぶつけたら皇太子の溺愛が始まりました
「……え?」

思わず顔を上げる。

すると――ルークレイン様が、笑っていた。

それも、押し殺したものではなく。

心から可笑しそうに、肩を揺らして。

「……っ」

言葉を失う。

こんな表情、見たことがない。

噂で聞く彼は、冷静で、無駄な感情を見せない人のはずなのに。

「俺が顔で受けなければ、もっと飛ばされていただろう」

くすり、と笑いながら言う。

まるで、本当にどうでもいいことのように。

「そ、それは……」

返す言葉が見つからない。

怒られていない。

それどころか、笑われている。

状況が理解できず、ただ戸惑う。

「面白いな」

その一言が、静かに落ちる。

ぴたり、と空気が変わる。

顔を上げたまま、動けなくなる。

ルークレインの視線が、まっすぐに向けられていた。

逃げ場がない。
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