洗濯物をぶつけたら皇太子の溺愛が始まりました
しかも、たった一人の侍女――いや、洗濯婦に話しかけている。

あり得ない光景。

「……フィアナ、っていうんだ」

ルークレイン様が、ゆっくりとその名前を口にする。

自分の名前が、こんな風に呼ばれるなんて思ってもいなかった。

「いい名前だね」

その言葉に、かあっと顔が熱くなる。

「……あ、ありがとうございます……」

消え入りそうな声で答える。

こんな距離で話していること自体、信じられない。

逃げたい。でも、動けない。

「そんなに緊張しなくていい」

くすりと笑う気配。

「昨日みたいに、もっと普通にしてくれればいい」

「……っ」

昨日。シーツをぶつけてしまった、あの時。

あんな無礼を働いたのに。

それなのに――

どうして、こんなに優しくされるのか。

分からない。
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