洗濯物をぶつけたら皇太子の溺愛が始まりました
思わず、手が止まる。

――皇太子、ルークレイン。

遠くにいるはずなのに、なぜか目が離せない。

朝の光を受けて、その姿はどこか現実離れして見えた。

「カッコいい……」

思わず漏れた言葉に、自分で驚く。

「あんな方が、この世にいるんだ」

同僚たちが騒ぐ気持ちが、少しだけ分かる気がした。

けれど――

「……見てはダメ」

私は慌てて視線を落とす。

自分の立場を、思い出す。

私はただの洗濯婦。

あの方は、次期国王。

交わるはずのない世界。

「見ても、気づかれない」

そう思いながらも、もう一度だけ――と、顔を上げてしまう。

その瞬間だった。

ルークレイン様が、ふと足を止めた。

心臓が、跳ねる。

まさか、と息を呑む。
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