洗濯物をぶつけたら皇太子の溺愛が始まりました
翌日も――ルークレイン様は、当たり前のように洗濯場に現れた。

「おはよう、フィアナ」

その一言だけで、胸がぎゅっと締めつけられる。

どうして。どうして、また来るの。

答えなんて分からないまま、私は手元のシーツに視線を落とす。

けれど、指先がうまく動かない。

布を広げようとしても、思うように広がらず、ただもたついてしまう。

「……そんなに緊張しなくていい」

すぐ近くで声がする。

顔を上げることもできない。

距離が近すぎる。

息がかかりそうなほどで、余計に手が震えてしまう。

「す、すみません……」

情けない声が出る。

その時だった。

「貸せ」

短くそう言って、ルークレイン様がシーツの端を掴んだ。

「お待ちください。皇太子様がそんな……!」

思わず声を上げる。

けれど、彼は気にした様子もなく、そのまま布を引き上げた。
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