洗濯物をぶつけたら皇太子の溺愛が始まりました
軽々と。

私が苦労していた高さまで、あっという間に。

ぱん、と広げられたシーツが、きれいに風を受けて揺れる。

「ほら、これでいい」

あまりにも自然で、当然のような動き。

言葉を失う。

「こ、困ります……」

ようやく出たのは、そんな言葉だった。

「困る?」

ルークレイン様が、わずかに首を傾げる。

「私が叱られます……」

皇太子に仕事をさせた、なんて。

そんなことになれば、ただでは済まない。

そう思っているのに。

「俺が勝手に手伝ったと言えばいい」

あっさりと返される。

まるで、それで何も問題がないかのように。

「ですが……」

言いかけて、言葉が止まる。

ルークレイン様が、ほんの少しだけ身を屈めたから。

視線が、同じ高さになる。

近い。

近すぎる。

心臓の音が、自分でも分かるくらい大きい。

「困っているのを助けるのが、俺の仕事だ」

低く、静かな声。

その言葉に、胸が震える。
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