洗濯物をぶつけたら皇太子の溺愛が始まりました
いつもなら、何とも思わないはずなのに。

どうしてか――

「……恥ずかしい」

そんな感情が、込み上げてくる。

見られたくない。こんな手。

慌てて、引こうとする。

「すみません、汚くて――」

けれど。

「待て」

ぴたりと、動きが止められる。

しっかりと、手を掴まれたまま。

離してもらえない。

「……っ」

顔が熱くなる。

逃げたいのに、逃げられない。

ルークレイン様は、じっと私の手を見つめていた。

まるで、何か大切なものを扱うみたいに。

「恥ずかしいことじゃない」

その言葉が、ゆっくりと落ちる。

私は思わず、顔を上げた。

視線が、ぶつかる。

逃げられない。

「仕事している手だ」

まっすぐな瞳。

嘘を言っているようには見えない。

「……美しいよ」
< 23 / 24 >

この作品をシェア

pagetop