洗濯物をぶつけたら皇太子の溺愛が始まりました
その一言が、胸に深く刺さる。

「……え」

何を言われたのか、一瞬理解できなかった。

けれど、意味が分かった途端。

かあっと、顔が熱くなる。

こんな手が、美しいなんて。

そんなこと、言われたことがない。

言われるはずもない。

「そんな……」

小さく呟く。

信じられない。

でも――

手を包む感触が、あまりにも優しくて。

言葉だけじゃないと、分かってしまう。

「……あの」

どうしていいか分からなくて、視線を逸らす。

心臓がうるさい。

ただの手なのに。

ただ触れられているだけなのに。

どうしてこんなに――

「……困るか?」

少しだけ、声が低くなる。

試すような響き。

私は、首を振ることもできずに。

ただ、ぎこちなく答えるしかなかった。

「……困りません」

その言葉を聞いた瞬間。

ルークレイン様の指が、ほんの少しだけ強くなる。

まるで――離すつもりがないみたいに。
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